東京ホテル事情、不動産投資の優良物件です。

東京ホテル事情

2009年5月19日 by Quality-F

過去3年でペニンシュラやリッツ、シャグリラなど世界の高級ホテルの進出が相次いだ。不動産市況が良好であり、大規模な開発には必ずといっていいほど、ホテル、商業施設、オフィスが一体となって開発された。しかし、世界大不況が訪れて、どの外資系ホテルも苦戦が続いている。それは、国内勢にとっても同様である。ここで簡単な質問ではあるが、都内で2008年Rev Per (平均客室単価×稼働率で計算され、ホテルの1室あたりの売上単価として収益性を示す数値) で高いのは どのホテルだろう?

週間ダイヤモンドの調査 (2009.3) によれば、1. リッツ 2. マンダリン 3. パークハイアットの順であり、外資系ホテルが上位を独占している。

さらに、2008年稼働率については 1. 小田急ホテルセンチュリー(90.9%) 2. メトロポリタン丸ノ内(86.6%) 3. 京王ホテルプラザ(85.6%) と国内勢が占めている。

ちなみに、上位20までは稼働率70%以上を確保している。

現在、景気後退により海外ビジネス客や観光客の減少に見舞われ、稼働率は大幅に下落した。そこでどのホテルも1室単価の大幅な値下げに踏み切っている。

ここ数年で日本に進出した外資系ホテルのほとんどは賃貸方式での進出である。リッツなどは世界的に運営委託方式での進出がほとんどであるが、東京進出にあたっては賃貸方式での進出であった。

つまりリッツはリスクをとってでも東京進出をはたしたかったのであろう。それは、賃貸形式ともなれば長期契約、固定賃料(ある程度の変動賃料はあるものの)となってくるため、デベロッパーにしてみれば、ホテル運営のリスクと不動産を切り離して収益安定につながる。一方で運営委託方式ならば売上げの1.5%や GOP の10%など様々な設定条件があるものの、賃貸形式と異なり、大幅にリスクは緩和されるわけである。

不動産金融バブルのさなかには、ホテル取引は活発であった。ウェスティン東京やANAホテルなど大型のディールが頻発した。中でも2007年4月にANAによる直営13ホテルの売却は、過熱を極めた。2,813億円でモルガン・スタンレーが購入したが、業界では圧倒的な高値であると騒がれた。そんなとき、モルスタのプレイヤーが「ホテル投資は今、5回オモテだ。」と言っていたのが印象的であった。小生個人的には出口戦略を見据えたとしても 2007年4月時点では8回裏ではなかっただろうか、つまり泣いても笑ってもチャンスは後一回。いかんせんホテルのディールは時間がかかり、需要者が限定的である。

日本郵政かんぽの宿もこのタイミングで売却していたなら、100億程度ではなく、もっと高値がついたのは間違いない。