不動産投資トピックス 国の施策に翻弄される不動産市場と不動産投資のタイミング(1)
2010年12月28日 by Quality-F
自見庄三郎金融担当相は14日の閣議後の記者会見で、中小企業の借入金や個人住宅ローンの返済を猶予する中小企業金融円滑化法の期限を2012年3月末まで1年延長すると表明した。金融相は「中小企業の業況、資金繰りは依然厳しく、先行きへの不透明感から、貸し付け条件変更の需要はある」と理由を説明した。金融庁は年明けの通常国会に同法改正案を提出する。」との記事が先日目に留まった。
12月上旬にも日経新聞で同様の記事を見たが、不動産業界のプレイヤーはため息ばかりであろう。
なぜなら、金融円滑化法により、NPL系案件の放出が停滞しているからである。
状況は、以下の通りである。
(1)金融円滑化法により、企業側のリスケが容易となった。
(2)銀行側は金融円滑化法によりリスケ等された債権の区分をさげなくてもよい(本来は不良債権化さるべきもの)。つまり、貸倒引当金を積まなくても良いし、債権自体を処分や回収に早急に回す必要もなくなる。
(3)その結果、本来不良債権化されて放出されるべき債権(不動産)が放出されない。
(4)不動産の出物がない。国の政策により、本来市場に出るべき物が出ない。つまり…歪が生じている。
(5)その結果、不動産取引自体が少なくなっており、デベロッパー等に関して言えば用地等の仕入れが思うように進まない状況(高値買)となっている。その上、表向きは一時的(政略的)な景気回復を受けて、リーマンショック以後の買い控えていた需要者が一斉に動いている為、本来のポテンシャル以上に不動産の値が急激に上昇している。
このように不動産業界は物不足によるマーケットの停滞に頭を抱えていた。
しかし、金融円滑化法の時限措置が切れるとされていた平成23年3月以降は、延命された(リスケ)企業の破綻や早期回収にまわされる債権(潜在的・実質的なNPL案件)など、多数噴出してくるだろうと誰もが固唾を呑んで待っている状況であった。
大手の不動産デベロッパーでさえ、平成23年3月以降に期待をかけていたほどだ。