不動産投資の指標 (2) – ランドバリュー(土地価格)
2009年10月22日 by Quality-F
先日の床面積単価に引き続き、本日はランドバリューについてお話しよう。マーケットには多種多様な物件が溢れている。小狭地の高収益1Rや駅からやや距離のあるものの、敷地にゆとりがあるファミリー対象の物件等、その個性も様々である。一般に、高収益タイプはほぼ投資目的に建設されたものが多く、ゆとりがある計画は相続対策や資産活用等の目的で建設されたものが多い。ここに、売却時のスタンスの差異が認められ、投資判断の材料となるわけである。
一般に投資目的に作られたものは、デベロッパー等が低価格で土地を仕入れ、建築コストを投じで物件を建設して、リースアップ(賃貸人の客付)を行って満室になった状態で売却する。その際、業者利益(投資資本収益率)として10~20%程度は上乗せして売却をする。試しに読者も積算してみたらいかがだろうか?到底、土地はたたいて購入したもので、建築コストも費用対効果を考えて建築されている。概ね建築コストは40~50万円/坪程度であろう。最近、20~30坪程度の土地に小規模1Rを建築して、パッケージ商品として売出しているデベロッパーが見受けられるが、これは、その床当りの収益性に着目した事業モデルである。このような業者は、証券化バブル崩壊後に大手・中堅デベロッパーが手につけないような土地を、底値で買い漁っていた。
筆者も、証券化バブル崩壊後(2008.秋)、不良債権がらみでJR山手線の駅徒歩約5分の築古本社ビルのコンサルティングを行った。半年前は坪400万円を超える土地相場を形成していたが、当時、早期売却によるリスクを見て、開発法を適用の上、180万円の値付けをしても需要は薄かった。最終的には、上記したデベロッパーが150万円で交渉のベースに乗ってきた。このように、破格で仕入れているケースが多い事から、ロケーションやプランによってはお買い得な物件もあるだろう。
一方、地主や中小企業のオーナー等が節税や資産活用で建設した収益物件は話が異なる。地主はもともと土地を所有している事から、建築コストに対する利回りで投資判断を行っているケースがほとんどである。中小企業のオーナー等は今後の利用や地域性、担保価値等、購入スタンスに個別性が認められ、一概に利回りのみで購入しているわけではないのである。しかしながら、差し迫った換金ニーズ等により売却する場合には、周辺で売出されている物件の利回りにひずられてしまう結果となり、資産価値(ランドバリューのウェイトが高い)の割りに安い水準で売出されているケースもある。
このように、ランドバリューを不動産投資の指標の一つとして捉える事により、資産価値のみならず換金性、また、将来の利用の可能性についても計る事ができるわけである。当然、融資の際にはランドバリューが高いほうが有利なのは明確である。今後は、利回りとランドバリューのバランスを頭の隅においていただければと切に願う。