不動産投資の指標 クライテリア(投資基準)とストレスチェック
2010年4月26日 by Quality-F
外資系の不動産会社に勤めている筆者の友人がいる。非常に卓越したアンテナの持ち主で、色々な面白い情報を持ってくる。うさんくさい話もあるが、中にはどうやってこんな情報を持ってきたの?なんて感心してしまうものもある。そんな彼が、真剣に投資用不動産を自分で買うのならと、考えたクライテリアを簡単に翻訳してご紹介したい。かなり厳しいクライテリアではあるが、読者の参考になれば幸甚である。
・「表面利回り(満室想定)」 10.0%以上 … 市場賃料ベース
・「築年数」 築20年以内(平成2年築以降) … 新耐震基準or融資期間
・「構造」 RC造orSRC造
・「購入価格 <= 積算価格」 … 土地は路線価ベース。建物は減価修正後。
・頭金及び諸経費で1,000万円まで
【ストレスチェック】
(シナリオA) 空室率20%・経費率20%での満室想定のCFが300万円以上。2棟目の取得可能性の検証として。
(シナリオB) 現況収入でのCFを算出して、赤字にならなければOKとする。当面の返済が滞らないか判断する。
(シナリオC) リスク管理金利5%、空室率30%、市場賃料で赤字にならないかを検証する。金利上昇や家賃下落への耐力を判定。
シンプルではあるが、非常に上手くまとまっているのではないかと思う。当然としてエリアは東京都心部に限らない。福岡で当該クライテリアに合致した物件を数件見つけたと言っていたが、今、フルローンを引き出そうとやっきになっている状況である。彼は投資を非常に楽しんで行っており、好きらしい。宝探しのようであると…非常に羨ましい限りである。
不動産投資において、大切なのは、融資と物(不動産)である。物(ブツ)とは不動産そのものの質である。当然、いいものに越した事はないが、その分当然高い…。それと同様に大切なのは融資である。これは不動産とは完全に区分された世界の話しで、買手が独立してコントロールできる部分なのである。不動産の旨みの本質は他人のお金で資産を形成する事である。また、購入したそのもの自体に他の動産とは比べ物にならないレベルの担保価値が認められる点であろう。したがって、他人のお金で買ったもので、より大きなものを買うという、投資の連鎖が可能となるわけである。いわゆる、サラリーマン大家さん等と騒がれる、カリスマプレイヤー達はこの連鎖をただ運よく利用できただけの事である。しかし、行動力のみで誰もがこれを利用できた時期はもうずいぶんと過去となってしまったが。
とはいいながらも、融資姿勢と言うものは、お国の政策一つ、景気循環一つでガラッと大きく変る。サブプライムローン等の金融商品を連想してもらえば容易に想像できよう。どんな物にでも、時流が見方すればお金は群がるのである、特に悲しい事に金融の世界では顕著である。数年前の不動産証券化バブルも同じ。何度も高値であると警笛を鳴らしていたが、止まらないのである。そこには、「企業の原理」や「各プレイヤーの思惑」、「決済権者等のエゴ」等々、色々なしがらみで、止まれないのである。したがって、今後においても、当然として上記したような「融資の歪」が必ず生じよう。その時には、確実に大きな「投資の連鎖」が起こせるように、上記クライテリアはきちんとポイントを押えている(詳細はメール等でお問合わせ頂ければ、手取り足取りご説明しよう。)。連鎖的物件所得の肝は「黒字経営」と「担保余力」の2点である。この2点を押えることによって次の物件に累乗的に手が出るのである。例えば、同じ利回りの物件でも、無理なストラテジーでCFが回らなければ、負の遺産になって、次の不動産の所得は、まず出来なくなってしまうのである。同様に利回りばかりが高くても、資産価値がなければ担保余力は見込めない。何のために、他人資本を調達して億万長者になったのか?
今、目の前にある高利回りな物件も非常に大切ではあるが、もっと、先を見越しての今の投資(次につながる投資)もある事を心の隅において欲しい。上記した筆者の友人は、将来を見て、今に投資している一人である。