容積率、不動産投資の優良物件です。

容積率

2009年9月10日 by Quality-F

先日の事であるが、友人から競売で土地を取得したからどのくらいの建物が建つか調べてほしいと頼まれた。商業地域で容積率が800%であるから、8階建の建物が建つだろうとの事であった。
容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合)とはその土地に建築できる容積対象の床面積を制限するものである。簡単なイメージとしては地積の何倍まで建物が建てられるか?と考えれば容易にイメージできるであろう。

一般的に、容積率と呼ばれているものは、指定容積率と呼ばれるもので、その地域特性を鑑みて都市計画において定められたものだ。役所の都市計画課の都市計画図に記載されている数値で容易に調べる事ができる。しかし、容積率と呼ばれるものにはもう一つある。それは基準容積率と言われるものだ。これは前面道路から制限される容積率で、12m未満の道路幅員の土地に関して制限される。住居系であれば「前面道路幅員×0.4」、その他であれば「前面道路幅員×0.6」となる。例えば、前面道路が6.0mの商業系の場合には、6.0×0.6となり、360%となる。この基準容積率と上述した指定容積率の低いほうが、その土地の容積率となる。したがって、仮に指定容積率が800%であったとしても、前面道路が6.0mとあれば容積率は360%となってしまう。

そもそも容積率とはその地域の利用の度合いに応じて設定されるものである、したがって容積率が高くなればなるほど、その土地は高度に利用されることとなる。商業地域の容積率が高いのは、こういった理由からである。一方で、高度利用されれば当然に、その地域には沢山の人々が集まるわけで、火災等の災害時にはその利用の度合いに応じた非難経路や消防用の空地等(道路)が必要となる。このように、地域性のみならず、前面道路からも規制(基準容積率)を行う必要が生じるわけである。

話を元に戻そう。その友人の土地についてだ。この話の流れから読者も察しがついたと思うが、その購入した土地の前面道路の幅員が12m未満であったのだ。正確には6.0mで、基準容積率が360%となってしまう。

しかし、なんとも幸運なことに、前面道路が70m以内で特定道路に接続していたのだ。容積率には様々な緩和規定があり、土地の個性を反映するための規定が設けられている。対象地もそんな緩和規定の一つに合致していたのだ。結果、500%以上の容積が使える事となり、駐車場の容積緩和等を用いて、当初の計画程度のボリュームは十分確保できそうな事となった。その他、道路斜線の問題等、色々とあった土地であるが、種々の緩和規定でクリアーできるなんとも幸運な土地であった。筆者は建築士であるので、このような基準法上の制限は当然に認識している。しかし、土地の売買を行っている不動産業者の多くは、このような知識が無いままで、単に重要事項の説明だけで仲介を行っている。なんとも怖い話である。試しに「特定道路における容積緩和」を説明して欲しいと聞いてみたらいかがだろうか?