大規模修繕積立金 CAPEX とは
2009年8月27日 by Quality-F
大規模修繕積立金 (CAPEX) とは、聞き慣れない言葉だと思う。しかし、不動産の収益性を語る上で、欠く事の出来ない非常に重要なファクターだ。そもそも、それ如何では利回り水準なんて大きく変動してしまう。本日はそんな最重要ファクターの一つ、CAPEX について話したい。CAPEX (※)とは長期修繕更新費用の事で、建物の劣化に伴い長期的視野で計画的に実施される修繕及び更新に要する費用である。例えば、設備の更新や外壁の塗り替え、屋根の防水等々、数え上げたらきりがない。その費用を毎期の CF からプール(積立)して、将来における支出に備えるわけである。論理的にはこのように適切に修繕更新を行っていけば、標準化された競争力(収益)は持続されることとなる。
一般的に、CAPEX は新築・築浅であれば再調達原価の0.3~0.5%程度。築古であれば2.0%程度計上する場合もある。当然に物件の維持管理状態や更新状況に応じて、築年をベースとして個別的に設定する。一方、ホテル等は、売上の○.○%をFF&Eコスト(家具・什器・備品:インテリアの更新費用)とてしプールするケースもある。いずれにせよ、適切に見積もり毎期のCFからプールしていく。このように、毎期のCFを適切に見積もることにより初めて、利回りについ論じることができることとなる。とかく、利回りだけが一人歩きして論じられる世の中ではあるが、もっと、物件そのものに目が向けられなければいけないと筆者は常日頃から考えている。
後日、個人投資家向けの、より実践的な CAPEX の見方について話したい。(※ なお、必ずしも税法上の資本的支出とは一致しないことを付け加えておこう。)