不動産投資の指標(3)-賃料水準(2)
2009年11月29日 by Quality-F
先日の話に引き続き、本日は事例選択の際の留意点から話したい。
事例選択の際に留意すべき点は以下の6つである。
(1) 規模(面積・プラン)の類似したものを選択~exp 20㎡の1Rには20㎡前後の1Rを選択する。
(2) 駅距離の類似したものを選択
(3) 築年の類似したものを選択
(4) 構造の類似した物を選択 ~exp 木造とRC造では賃料水準が大きく異なる
(5) 基準階の事例を選択 ~exp 5階建の物件であれば3階の事例を選択する。一般的に上層階は賃料水準が高く、下層階は低い為(階層別の効用費)。
(6) 礼金・敷金が類似したものを選択 ~exp 特にゼロスタイルには注意
成約事例が良いのは明らかであるが、読者には入手困難と思われる事から募集事例で代用する事になる。募集事例はネットの仲介サイトや地場の不動産屋等から容易に探す事が出来る。ここで、募集事例を選択する際には、その事例が①長い期間市場に滞留している物件や②大きな空室を抱えていたりする物件は避けるべきである。なぜなら、賃料が高すぎて半年たっても決まらないケースや、大きな空室を抱えている事から、格安な賃料水準で早期にリースアップを図ろうととしているケースの物件であり、妥当な賃料水準では無いからである。一般的に、居宅用の賃貸物件の募集期間は特殊なケースを除けば3ヶ月程度である。
次に競争力の評価であるが、これは読者自身が入居者の立場(単身者・DINKS・ファミリー等々)として、どちらに物件に入居したいか?との観点から行えば間違える事は無いであろう。その際には内覧まで行う事は手間なので、ファクトシートベースで内観をイメージして、特に設備水準に注目して判断すべきである。
このようにして求められた賃料水準をベースとして、気になっている物件の満室想定利回りの検証をしてみたら如何であろうか。利回りが下がる物件がほとんどであるが、逆に少数ではあるが、利回りが上がる物件もある。これはほんの一例ではあるが、このように不動産投資に関するスキルを身につける事により、よりベターな物件を探す事ができる。
なお、DDや鑑定では面積による差異が生じる事から、(賃料)単価を用いる事を付け加えておこう。また、賃料水準の見立てや利回りについての詳細は過去の記事(賃料・利回り)を参照頂きたい。